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補足情報

​​ご来場者いただいた方より、補足情報をいただきましたので、ご紹介いたします。

「ハジチ唄」について

10月23日

沖永良部のハンジチの唄の譜面と会場で流れていた森久保様の唄声から、旋律は永良部の「子守唄」に乗せて唄われていたとわかりました。

1つの旋律に様々な唄の詞を乗せて歌うのは琉球弧に共通の文化でしたが、永良部に顕著なことで、小原一夫さんが採譜されたのもそんな唄の1つだったと思われます。ですので、あの旋律を「ハジチ唄」と紹介した場合、歌詞と旋律が固定されているとの誤解を招くのではないかと気になりまして…

 

永良部のシマウタ好きの一人として私もハジチの唄のことに興味があり、奄美シマウタ研究会主宰の酒井正子先生と永良部の唄に詳しいシマウタ研究家の持田明美さんにお尋ねしてみました(以下の詳しい資料は持田さんからいただいたものです)。以下、既にご存じのことも多いと思いますが、一応ご報告しますね。

歌詞は
あまらあまら あぢゃら ふみ一合くりり 
はんじち ぜえく たるでぃ はんぢち ちかさ
(お母さんお母さんお父さん 米一合くださいな、  
入れ墨細工人を頼んで 入墨を突かせよう)
※入れ墨の技術のある人に謝礼として米を渡す習慣があったため

 

山下文武著『奄美の針突』によれば、お隣の与論島にも
阿母ヤイスヨイ 米くりてぃ給い
針突き大工頼でぃ 我腕突かさ
(お母さんよ、ねえねえ、米くれてたもれ、その米で入墨師を頼んで、私の腕に入墨を突かせよう)
という類似の歌詞が残されています。

 

以下は小原さんのご著書なので、既にご存じかと思いますが、
「南島入墨を歌った歌謡に就いて」(『旅と伝説』48号)に沖永良部島のハンジチにまつわる唄として、(『入墨考』は「南島入墨を歌った歌謡に就いて」も含めてまとめられたものではないでしょうか?)
次の2つが挙げられていました。


(2)
うとふしゃも ちゅとち とじふしゃも ちゅとち
はんじきふしゃぬ いのちまぎり
(夫欲しさも一時、妻欲しさも一時、入れ墨欲しさは命限り)
これは沖縄本島と類似の歌詞ですね。

(3)
たんにゃ ちよまちが ちちゃぬ はんじち

いちむ わすりらぬ みじくさぬ はなぬ ぐとぅし
(田皆千代松が突いた入墨はいつも忘れられないよ。水草の花のように。)

 

同論考には小原さんが採譜されたのはエラブの和泊でと記されています。

そして、持田さんからも、「沖永良部島では自由に好きな歌詞をいろいろな節に乗せて歌う習慣があるので、小原さんが和泊で調査された時にインフォーマントの方がたまたま子守唄に乗せて歌われたと思われる。

それを「ハジチ唄」と呼んでしまうと「ハジチ唄」と呼ばれる特定の節(旋律)の様に誤解されてしまうのではないか。小原さんの「南島入墨を歌った歌謡に就いて」という論考にも「ハジチ唄」という表記はされていないので、せめて「ハジチの唄」とした方が良いのではないだろうか。あるいは誤解を避けるために「節は自由でいろいろな節で歌われる。これは子守唄に乗せて歌ったものである」という補足が必要ではないか」ということでした。

 

更に、沖永良部のハジチに就いての詳しいことは「えらぶ郷土研究会」会長 の先田光演先生にお尋ねになるとよいのでは、とのことでした。
和泊町歴史民俗資料館館長でもいらっしゃるので資料館で連絡がつくと思います。

以上、釈迦に説法なことで、既にご存じだったら申し訳ありません、失礼お許し下さい。(女性より)

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